何をしても稼働が一向に上がらない状況に悩んでいるホールは多いと思います。
稼働を上げる方法の前に、まずは今までのパチンコ業界の間違いを正す必要があります。
なぜなら、稼働を上げる方法を聞いたり、見たりしても今までの方法とどちらを選ぼうかという2択になってしまい、殆どは今までの間違った方法を選んでしまうからです。
今までの方法と考え方ははっきり言って間違いです。それらを解説していきます。
1 数字の勘違い
稼働の勘違い
【稼働】という言葉を使う時は、主に実際にお客様が遊戯した玉を表すアウトを指していると思います。
確かに間違いではありませんが、稼働=アウトと捉えている場合、稼働を上げる=アウトを上げるという考えになってしまいます。
アウトを上げるという事は、お客様の遊技時間を長くするか客数を増やすかの2通りです。
皆さん、お客様の遊戯時間を長く出来ますか?
自分がお客様としてホールに遊びに行った時、ホールに自分の遊戯時間をコントロールされていますか?
そんな事はないはずです。
お客様も同様に用事があれば遊戯を辞めるし、お金が無くなれば殆どの人は帰るというように、遊戯時間のコントロールは非常に難しく無理があります。
では稼働=客数と捉え、客数が増えた場合、【客数増=アウト増】は確実に成立します。
一人一人のお客様をコントロール出来なくても、客数が増えれば確実にアウトは上がる。
従って、稼働を上げよう=客数を増やそうという事になります。
この考え方一つでやるべき事が多少なりとも変わってきます。
まずはこの稼働=客数と認識をしっかり持ちましょう。
アウトの勘違い
アウトとはお客様が遊戯した玉数、アウトBOXでカウントされた玉数です。
私が若い頃、『アウトが上がれば全ての問題は解決する』と教えられました。
実際アウトがあがれば何もかも良い方向に進みます。
しかし、アウトの本質を見なければ全てが悪い方向に進みます。
本質とは、アウトは【総BOと総TOを足した数値】という事です。
BOとはダイコク用語でベースアウトでパチンコ台(スロット台)の通常時の平均アウト数です。BOに特賞回数をかければ総BOなります。
TOとは特賞中アウトでパチンコ台(スロット台)の大当たり中、確変中、時短中の平均アウトです。TOに特賞回数をかければ総TOです。
アウトをわざわざ分けて考える理由は、よく言われるアウト病にかからない為です。
そもそも、アウトを上げる目的は利益を上げ続ける為ですがアウトとは何なのか、なぜ上げなければいけないのかをきちんと理解しない人たちが多く、その人たちがアウトを上げる為に何をするかというと、BOを下げてTOを増やす事を行っているのです。
具体的にはスタートを回す、T1O(大当たり出玉)を増やす、ベースを増やす、確変ベースを増やす等のいわゆる【開ける】事をします。
開ければもちろんBOは減り、TOは増えます。利益を確保する為にはBOを上げなければならないのに、とにかく【アウト】を上げようと利益を使ってTOを上げる事しか考えないのです。絵にかいたような本末転倒・・・
アウト病にならない為に、アウトを上げる=BO(総BO)を上げると覚え、更にBOを上げる為には客数を上げる事を考えましょう。
(アウト病にかかっているか調べてみよう)
割数はアウトに影響しない
日々の営業で割数を気にしない日はないのでしょうか。
例えば、『今日は12割か。赤字だな~』『今ちょうど10割。閉店までには下がってくれ~』『明日は9割で調整しよう』等 必ず見聞きすると思います。
しかし、実際は割数はアウトには全く影響しないのです。
まず、割数がアウトに影響すると考える原因は、今までの経験が大きいのではないでしょうか。
今までの経験とは、パチンコ業界が何もしないでも賑わっていた時代です。
この時代は遊戯人口が多く、何もしないで利益が取れる時代でした。従って、より良くしようとした時に目を向けるのは他店舗です。
他店舗よりいかに回すか、玉を見せれるか、いかに煽れるかを考えていた時代です。
この時代の人たちが指導してきた結果だと思います。
時代と環境が変わっていくにも関わらずこのような指導を受けていた人たちはそれが正しいと考えます。
割数が稼働に影響すると考えた場合、
割は高くて稼働が良い
割は低いが稼働が良い
割は高いが稼働は悪い
割は低いが稼働が良い
営業数値は基本このどれかに当てはまります。
この状況を見て考える事は、
稼働が良い理由は? → 割が高いから(玉が出ているから)
稼働が悪い理由は? → 割が低いから(玉が出ていないから)
稼働が良い理由は? → 割が低いから(玉が出なくてお客様が粘っている)
稼働が悪い理由は? → 割が高いから(出ているお客様だけ残っている)
どの考え方をとっても矛盾する考えも存在するので正解は無いのです。
正解が無いという事は、割数は稼働に影響しないという事です。
この事実を勇気を持って、認めましょう。
(割数が稼働に影響しない理由を数字で証明)
出玉で稼働は上がりません
稼働を上げる為に玉を出しますがこれは大きな間違いです。
理由は、【出玉=割数】だと勘違いしているからです。
割数は稼働に影響しませんよね。
正解は出玉=売上と捉える事です。詳しく解説します。
景品出額で分かる、出玉の金額
景品出額とは、出玉を金額に置き換えた数値です。
計算式 売上×割数÷10=景品出額
(割数を1/10にして、÷10を省略しても可)
景品出額という言葉は一般的にパチンコ業界で使われているのか、大都販売の用語なのかは分かりませんが、この景品出額は【出玉感】を表す数字です。
お客様はもちろん玉が多く出ているホールに惹かれているという事は否定できません。
だからと言って実際に玉を出したのに客数は増えない、アウトも上がらないといった事は無いでしょうか。
それは景品出額が小さいという事が原因です。
下記表をご覧ください。
台売上 | 割数 | 景品出額 | |
A店 | 10,000 | 15割 | 15,000 |
B店 | 20,000 | 12割 | 24,000 |
C店 | 30,000 | 9割 | 27,000 |
貸玉4円 10割分岐の場合、
A店は15,000円分の出玉感で▲5,000円の赤字
B店は24,000円分の出玉感で▲4,000円の赤字
C店は27,000円分の出玉感で+3,000円の黒字
※粗利=景品出額-台売上
A店はいくら割数が高くても出玉感はB・C店舗に及ばず、B店はC店に及びません。
A・B店はC店に勝つ為に、また稼働を上げる為にこの割数で営業を続けられますか?
弱い店舗がいくら割数を高く設定し営業しても出玉感は小さく、お客様には響かず、強い店舗の出玉感に敵わないのです。
このように稼働を上げる為に必要なのは出玉ではなく【出玉感】であり、その出玉感を上げる為には売上が必要で、売上を増やす為には客数が必要になってくるのです。
一度自店の景品出額を出してみてはいかかでしょうか。
※貸玉4円 2.5円交換 台売上30,000 割数12割の場合
30,000×12÷10×0.625=22,500円 となります。
※0.625=交換金額÷貸玉金額
出玉イベントはどうでしょう?
出玉イベントを行うホールはまだ多いと思います。しかもどうにか警察に突っ込まれずに、ばれないように、イベント内容をぼやかし、隠語を使い宣伝しているホールもまだあるかと思います。
愚の骨頂としか言いようが無いです。理由は以下の通り
- イベント当日のみ客数は増え稼働は上がるが今後に繋がらない
- イベント当日は俗にいうイベント荒しだけが美味しい思いをする
- 客数増→売上増→割数増→景品出額増→赤字額増
- 利益の回収は常連に・・・
弱いホールほど出玉イベントに費やす全てが無駄です。
ホールの皆様は薄々気付いていると思うのですがいかかでしょうか?
景品出額はお客様を見ても分かる
お客様の中で、『このお客様は毎日出してるな~』と思われているお客様はいませんでしょうか?
この毎日出していると思われているお客様こそホールの景品出額を上げて印象を良くしてくれているお客様です。
仮に毎日出しているお客様をAさん、一般的なお客様をBさんとして
Aさんは10万円使って8万円出します。収支は▲2万円です。
Bさんは2万円使って1万円出します。収支は▲1万円です。
この時、周りのお客様はどのように見るでしょうか?
恐らく、Aさんの事は店員や他のお客様と一緒に、『またあの人出してるね』と若干悪意ある会話をしている、若しくは羨望の眼差しで見ていますがBさんとは傷を舐めあってます。Aさんの方が多く負けているのに・・・
この羨望の眼差しの理由こそ景品出額にあります。
周りはAさんとBさんがいくら使ったかは分かりません。
しかしAさんの8万円分の出玉とBさんの1万円分の出玉は見て比べています。この出玉の多さでAさんは必然的に勝ち組に分類されてしまうのです。
またAさんとBさんのタイプも正反対です。(ここは個人の感想です)
Aさんはたとえ10万全て負けても、店員には笑顔で『10万負けちゃった』など終始愛想は良い、もしくは黙っていつの間にか帰ります。
遊戯する機種は荒い機種を好む(景品出額は大きくなりやすい)
Bさんは2万全部負けたら店員や他のお客様に『この店全然出ない・回らない』など文句言います。好む機種は甘デジやスロットのAタイプ等当たりやすい機種(景品出額は大きくなりにくい)
という傾向が見られると思います。
景品出額がお客様に影響を与えている証拠だと思いますがいかかでしょうか。
景品出額を店舗単位で考えた場合
景品出額を店舗単位でも考えましょう。
台売上 | 売上 | 割数 | 景品出額 | 粗利 | |
客数100名 | 20,000 | 2,000,000 | 9割 | 1,800,000 | 200,000 |
客数200名 | 20,000 | 4,000,000 | 9割 | 3,600,000 | 400,000 |
Aさんのようなお客様は少ないと思うので、Bさんタイプが倍増えた場合の数値です。
単純に200名に増えた場合、ホールにとっては同じ割数でも粗利は倍になり、お客様も実際に使う金額は変わらないのですが出ている玉が倍見えて、出玉感が上がります。
このように、今までの出玉=割数という考えでは釘を開けるだけ、設定を上げる事になり、稼働も上がらず悪い事しかありません。
稼働を上げる為、客数を上げる為に必要なのは出玉ではなく、【出玉感】であり、
【出玉感=景品出額】→【景品出額=売上×割数】割数は稼働に影響が無いので売上を増やそう→売上を増やすには客数を増やそうという事になります。
2需要の勘違い
ホールでは日々稼働を上げる為に様々な事を行っていると思います。
・新台、中古台入替 → 本当にお客様が遊戯したい
・出玉・景品・来店イベント → イベント期間のみ集客出来ている 利益のしわ寄せは常連客が・・・
・リニューアルオープン → 嘘っぱちが殆ど
・低貸の導入 → 低貸も高貸も平均稼働は変わらない 低貸が増えた分売上等は減少
・換金玉数の変更 → 特に変化は無し 客数が増えるのは変更した数日間のみ
・機種配列の変更 → 特に変化無し
・接客の強化 → 本当に強化出来ていますか?強化されたとしても変化なし
・広告宣伝 → 特に変化なし
・貯玉サービス → 若年層のみ使いこなす
・会員カード → 会員数は増えているかもしれないが特に稼働の変化は無し
こんなところでしょうか。
稼働が上がる変化は何一つ無いはずです。
原因はただ一つ。
需要が無いからです。
この一言で片づけてしまうのは心苦しいのですが事実なので受け止めてください。
まとめ
- 客数を増やす事を考える
- 需要を探す
- 需要を供給する